飲食店を開業するにあたり、融資を受ける受けないに限らず
事業計画書を作っておくことはとても重要になります。
特に融資を受ける際には、事業計画書の根拠がかなり重要視されます。
事前にキッチリと情報収集を重ね、自信を持って提出の出来る根拠のある事業計画書を作成しましょう!
飲食店事業計画書の基礎知識
事業計画書の目的と重要性
飲食店事業計画書は、あなたの飲食店を成功させるためのロードマップです。銀行からの融資を受けるための必須書類であるだけでなく、事業の全体像を明確にし、将来の目標を達成するための指針となります。事業計画書を作成することで、資金調達、経営戦略の立案、そしてチーム全体のモチベーション向上に繋がります。
飲食店経営における必須項目
飲食店経営において、事業計画書には様々な項目が盛り込まれます。メニュー構成、ターゲット顧客、立地選定、資金計画、売上予測、人材育成など、事業の成功に必要な要素を網羅的に記述することが重要です。コンセプトに沿って統一感をもった計画を立案しましょう。
事業計画書作成の意義
事業計画書を作成することで、以下のメリットが得られます。
- 資金調達の円滑化: 銀行や投資家に対して、あなたの事業の将来性と収益性をアピールできます。
- 経営戦略の明確化: 事業の目標や方向性を具体的に定めることで、迷いをなくし、効率的な経営が可能になります。
- リスク管理の強化: 潜在的なリスクを事前に把握し、対策を講じることができます。
- チーム全体の意識統一: 従業員全員が共通の目標を持ち、一体となって事業に取り組むことができます。
飲食店事業計画書の作成方法
情報収集とリサーチ手法
事業計画書を作成する前に、市場調査、競合分析、顧客調査など、徹底的な情報収集を行いましょう。統計データ、顧客アンケート、競合店のメニュー分析など、様々な手法を用いて、客観的なデータを収集することが重要です。
コンセプトにマッチした場所かどうか慎重に調査しましょう。
私は、居抜きでの開業でしたので、事前に入居予定のテナントで間借り営業をさせてもらいました。
しかし、今振り返って思い返すと
人の流れや、どんな客層の人がいるエリアなのかは上手く把握できませんでした。
土地勘のないエリアでの開業は、かなり慎重に下調べをすることをおススメします。
出店を検討しているエリアを歩いて回って、移動手段は何が使われているか。
どんな年代の人が、どの時間帯に動いているか、どんな店が流行っているかなど
実際に歩いて自分の目で見てみる事が一番重要だと思います。
カフェ、パン屋、居酒屋など業態に合った、人が動く時間を捉えておかないと集客ではかなり苦労します。
事業コンセプトの明確化
あなたの飲食店は、どのようなコンセプトで勝負しますか?ターゲット顧客、提供する料理、お店の雰囲気、価格帯など、明確なコンセプトを打ち出すことで、顧客に選ばれるお店を作ることができます。
資金計画と売上予測の立て方
資金計画では、開業資金、運転資金、設備投資費など、必要な資金を具体的に算出します。売上予測では、客単価、客数、売上高などを予測し、収益性を評価します。
飲食店事業計画書の具体的な構成
記入項目とその記載内容
事業計画書には、以下の項目が一般的に含まれます。
- 会社概要: 会社名、所在地、設立年月日など ※個人事業主の場合は個人名
- 事業内容: 提供する商品・サービス、ターゲット顧客など
- 市場分析: 市場規模、競合状況、顧客ニーズなど
- 事業計画: メニュー構成、価格設定、販促活動など
- 資金計画: 資金調達方法、資金使途など
- 売上予測: 売上高、利益、損益計算書など
- 組織体制: 経営陣、従業員構成など
私は信用金庫で創業融資の申し込みを行いました。
個人で始める場合は信用金庫が親切でおススメです!
信用金庫のフォーマットに記入するカタチでの申し込みでした。構想段階で何度も作ってみるのも良いと思いますが、まずは一度借り入れを検討している機関に相談に行ってみると良いと思います。
銀行ってちょっと敷居が高いイメージがありますが、意外に親身になって話を聞いてもらえるので、まずは気軽に相談してみましょう。
成功するための計算方法
売上予測や損益計算など、事業計画書には様々な計算が必要になります。売上高=客単価×客数といった基本的な計算から、損益分岐点の算出まで、正確な数字に基づいた計画を立てることが重要です。
重要ポイントの解説
事業計画書を作成する上で、以下のポイントに注意しましょう。
- 具体性: 抽象的な表現ではなく、具体的な数値や目標を盛り込みましょう。
- 実現可能性: 無理のない計画を立てましょう。
- 論理性: 数字やデータに基づいて、論理的に説明しましょう。
- わかりやすさ: 専門用語を避け、誰にでも理解できるよう簡潔に記述しましょう。
飲食店での勤務経験がないと、計画立てた数字が現実的なのかどうか
なかなか判断がつきにくいと思います。
損益を超える数字がどのくらいの難易度なのか、短期間でも良いので価格帯の異なる飲食店で働いてみると
数字がよりリアリティを増し、どのくらいの客単価で×どのくらいの客数で、の売り上げに対しての現場感が掴めると思います。
飲食店事業計画書のテンプレート活用
エクセルテンプレートの使い方
Excelテンプレートは、事業計画書を作成する上で非常に便利なツールです。売上予測、損益計算、資金計画などを自動計算できる機能が搭載されているものもあります。
私も何度もエクセルで売り上げ構成をシュミレーションしました。
数式がある為、変数を試すことができるのでイメージしやすいと思います。
銀行に提出の際は、月別で3年分の計画を求められました。
表の作成自体はそんなに難しくないですよ!
飲食店損益シュミレーションといって、無料で計算出来るサイトもあるのでこちらもおススメです。
無料で利用できるフォーマット
インターネット上には、無料で利用できる事業計画書フォーマットが多数公開されています。中小企業庁や商工会議所のウェブサイトなどを参考に、自分に合ったフォーマットを選びましょう。
パワーポイントでのプレゼン資料作成
事業計画書を基に、パワーポイントでプレゼン資料を作成すると、銀行や投資家への説明がスムーズになります。視覚的に分かりやすい資料を作成し、事業の魅力を効果的に伝えましょう。
私は、銀行ではパワポ資料までは求められませんでしたが、熱意が伝わることが一番重要です。
アツく語るのが苦手な方は、資料を作りこんでアピールするのも熱意が伝わりやすいと思います。
売上と費用の予測方法
売上予測の方法と数字の根拠
売上予測は、事業計画書の中でも特に重要な要素です。正確な売上予測を行うためには、以下の点に注意しましょう。
- 客単価: メニュー構成や価格設定によって、客単価は大きく変動します。競合店の価格帯を調査したり、ターゲット顧客の購買意欲を考慮したりして、客単価を設定しましょう。
- 客数: 立地条件、集客力、競合店の状況など、様々な要因によって客数は左右されます。集客施策を具体的に計画し、客数目標を設定しましょう。
- 季節変動: 飲食店は季節によって客数が変動するため、季節変動を考慮した売上予測を行うことが重要です。
- 新規顧客とリピーター: 新規顧客の獲得とリピーターの育成は、売上増加に不可欠です。リピーター獲得のための施策を具体的に計画しましょう。
私は売り上げ予測をかなり厳しく予測を立てたつもりでした。
現実はこんなに厳しいとは。。。
しかし、実際はさらに厳しい数字になりました。。。
おそらくメニューが決まってしまえば、客単価はさほど外さないと思いますが、客数はかなりシビアにみておくのが良いと思います。
費用計算の実践例
費用には、大きく分けて固定費と変動費があります。
- 固定費: 家賃、人件費、光熱費、通信費など、売上高に関係なく発生する費用です。
- 変動費: 食材費、包装費、広告費など、売上高に比例して変動する費用です。
費用計算の際には、それぞれの費用項目を詳細に洗い出し、正確な金額を算出しましょう。
開業時には、後から改善のしようがない固定費は出来る限り抑えられるようにしましょう。
ダメもとで大家さんに家賃交渉するなど、期間限定でもかなり楽になります。
開業すると、この固定費が想像以上にボディーブローのように効いてきます。
固定費を下げられることは一つでも多くやり尽くしましょう。
売上総利益と営業利益の目安
売上総利益: 売上高から売上原価(主に仕入原価)を引いたものです。売上総利益率は、原価率の高さや、商品構成によって大きく変わります。営業利益: 売上総利益から販売費及び一般管理費(家賃、人件費など)を引いたものです。営業利益率は、収益性の指標として用いられます。
資金調達に向けた準備と手続き
融資を受けるための条件と手続き
銀行から融資を受けるためには、事業計画書の完成度、経営者の経験、担保、信用力などが評価されます。事業計画書は、銀行にあなたの事業の将来性と収益性をアピールする重要な資料となります。
一般的には自己資金の3倍程度までしか融資は下りないと言われています。
通帳も見られますのでコツコツと資金を貯めていたという事実が信用にもなります。
貯金は大事です!頑張りましょう!
私は、父から援助してもらえたのもありますが、自己資金は50万ぐらいで保証協会付きの450万の希望満額の融資を実行してもらった経験があります。
自己資金があるにこしたことはないですが、あくまで融資担当の判断によるところが大きいので、早い段階で諦めてしまわずに、まずは相談をして、そこから計画を具体化させていくのが良いと思います。
日本政策金融公庫を活用する方法
日本政策金融公庫は、中小企業向けの金融機関です。創業融資や運転資金貸付など、様々な融資制度があります。日本政策金融公庫のウェブサイトで、詳細な情報を確認しましょう。
必要な資料と提出手順
融資を受けるためには、以下の資料が必要となります。
- 事業計画書
- 確定申告書
- 決算書
- 身分証明書
- 登記簿謄本
提出手順は、金融機関によって異なりますので、事前に確認しましょう。
差別化と競合分析
競合調査と市場分析の方法
飲食業界は競争が激しい業界です。自店の強みを最大限に活かすため、競合店の徹底的な調査が不可欠です。
- 直接的な競合店: 同業種で、ターゲット顧客が同じようなお店をリストアップし、メニュー、価格帯、立地、サービスなどを比較します。
- 間接的な競合店: 異なる業種でも、同じような顧客層をターゲットにしているお店を調査します。
- 市場分析: 飲食業界全体のトレンド、地域特性、顧客ニーズなどを分析し、自店の位置づけを明確にします。
自店の強みとセールスポイント
競合調査を通じて、自店の強みと弱みを客観的に把握しましょう。自店の強みを最大限に活かし、競合との差別化を図ることが重要です。
- 独自のメニュー: 他店にはないオリジナルメニューの開発
- 立地: 交通の便が良い、観光地に近いなど、立地条件を活かした集客
- 雰囲気: おしゃれな空間、落ち着いた雰囲気など、お店の雰囲気を差別化
- サービス: 高品質なサービス、地域密着型のサービスなど、顧客満足度を高めるサービスを提供
自店の強みとセールスポイントが明確になったら、それをSNSや広告などで積極的に発信しましょう。
常日頃からSNSに慣れておきましょう!
いかに魅力的なお店でも、知ってもらえなければどうにもなりません。
発信力を高め、認知を取っていきましょう。
競合との差別化戦略
競合との差別化戦略としては、以下のものが考えられます。
- 低価格戦略: 競合店よりも低価格で商品を提供する
- 高品質戦略: 高品質な食材を使用し、高価格帯で勝負する
- ニッチ戦略: 特定の層に特化した商品やサービスを提供する
- 多角化戦略: 複数の業態を展開し、収益の安定化を図る
業種、業態によって戦略は変わりますが、低価格戦略は資金力がモノを言うのであまりおススメしません。
私自身、カフェをやっていて思うのは、来店客のみでの売り上げだけでは、客単価が低い業態なのでなかなか安定しません。
オリジナル商品を作って販売したり、物販を強化したりと、店内売り上げ以外の売り上げの柱を作れれば経営は安定します。
ぜひ独自の強みを活かした戦略を立案してください。
目標設定と今後の展開
実現可能なプランの立案
目標達成のために、具体的な行動計画を立てましょう。5W2H(いつ、誰が、何を、どこで、どのように、どれくらい)を意識して、計画を具体化します。
成功事例から学ぶノウハウ
成功している飲食店の事例を参考に、自店の課題解決に役立てましょう。業界誌、書籍、セミナーなどを活用して、最新の情報を収集し、常に改善に努めることが重要です。
月間食堂や近代食堂など、月刊誌で繁盛店の数字も公開されていて、とても勉強になるのでおススメです。
まとめ
飲食店事業計画書は、あなたの飲食店を成功させるための羅針盤です。 計画を立て、実行し、そして常に改善していくことで、目標達成に近づけます。
初めから完璧な計画などなかなか出来るものではありません。
何度も繰り返し練り直し、精度の高い事業計画書を作成しましょう。
飲食店経営の成功を心よりお祈りしております!一緒に頑張りましょう!